私たちの家造り

古民家改修

日本の伝統的な古民家は、風雪に耐え、大きな地震の揺れを経験し、幾節の年月を経て今日に残っています。
地元に育った木と、地域の人々の技術で造られた住いであり、暮らす文化の結晶といえます。
経済・社会構造や生活様式の変化のなかで、取り壊されることが多かった古民家でしたが
人々が古民家の持つ魅力に改めて気付いたことで、古民家を改築をして快適に暮らたしたいと願う家族が増えてきました。

私たち現代人が、日本古来から伝わる伝統的建築をもう一度見直すことによって、古民家から学ぶことはたくさんあります。
先人たちの知恵に、新しい建築技術を加えることで、地域の環境に適した快適な暮らしの場となります。

古民家ならではの趣のある構造材をインテリアに生かす

古民家には、柱や梁などに無垢の木材が使われています。
機械式の乾燥などない時代の木材なので、何年もかけて自然に天然乾燥しています。

天然乾燥の木材は、表面の艶が増すなど経年変化で美しさが増し、見る人を魅了します。
痛んだ木材は、部分的に交換するなど工夫をしながら、できるだけ元の木材を生かしたデザインを心がけています。

動線を考えて間取りを検討する

古民家は、和室と和室が、障子だけで区切られていることが多く、現代の住まいの間取りと大きく異なります。個室としては使いにくいことも多く、寝具としてベットを好む場合は、畳の部屋は都合がわるいことになります。

リフォームでは、生活動線を考え、水回りの部屋とのつながりや、家族のコミュニケーションとプライバシーを保ちながら、暮らしに合った間取りを検討することが必要です。

断熱・遮熱・気密を高め、温度差を解消する

古民家は、夏が涼しく過ごせるように工夫されて造られています。
このため、冬場に室内の温度が下がり、隙間風が起こり、足元が寒く、厚着をするなど、生活面で工夫が必要です。

断熱材を工夫し断熱性能を上げ、近年の夏場の激しい温度上昇対策のために遮熱材を使い、
さらに家全体の気密性能を高めるといった現代建築の技術をすべて使います。
こうすることで、古民家が本来持つ、調湿能力や、空気浄化機能などが加わって、現代建築だけでは得られない、快適な住空間が完成します。

古民家改修工事の実例

三重県亀山市関町 重要伝統的建造物群保存地区内 旧落合家住宅改修工事
構造設計:寺本武司・てらもと設計室(
三重県津市上浜町)

改修前

改修前 1階平面図

改修後 2階平面図

改修前 東側立面図

改修前 断面図

改修後

改修後 仕口ダンパー・耐震リング・荒壁パネル 1階構造計画配置図

改修後 仕口ダンパー 2階構造計画配置図

改修後 東側立面図

改修後 断面図

改修前 既存調査

改修 解体工事

内部補強工事

限界耐力による構造計算

古民家の改修工事には、構造計算により耐震性能を確保することは必須です。
そこで問題になるのが、古民家と現代建築では、構造の考え方が根本的に異なることです。
現代建築の構造計算と構造方法を、そのまま古民家の改修に取り入れると
構造的な耐力を持たせるために、壁を構造用合板で覆ってしまったりして
古民家が本来持っている良さが、失われてしまうことが頻繁に起きてしまいます。

どうしてこのようなことが起きてしまうかというと
古民家の構造を現代建築の構造に置き換えて対応できる構造建築家が、非常に少ないという現実があります。
このため、ほとんどの古民家の改修工事は、現代建築の構造計算の手法によって行われてしまいます。

トヤオ工務店では、古民家の構造を現代建築の構造に置き換えて対応できる
構造設計者「寺本武司」氏に出会いました。

寺本氏は「限界耐力による構造計算」を用いて
古民家の耐震構造の計算を行います。

「限界耐力による構造計算」の基本は
何世代にも渡り、家族を守ってきた古民家は、
過去の大きな地震でも壊れることはなかったという考えに基づきます。
まさに、古民家改修にはもってこいの構造手法というわけです。

トヤオ工務店では、寺本氏の「限界耐力による構造計算」によって
古民家本来の魅力を最大限に残しながら、古民家
を蘇らせることに成功しています。

地震の揺れによって、建物が変形しても、ある一定の傾きのところで、変形が止まり、構造的に大きな力を発揮することになる。寺本氏は、柱と梁の縮尺模型を組んで、材を変形させるだけの簡単な実験を行うことで、容易に実証判定できると説明しています。

構造建築家・寺本武司

構造建築家であるてらもと設計室・寺本武司氏は、「限界耐力を用いた構造計算」を用いることで、多くの古民家改修工事に携わってきました。建築専門化向けの講習を行い、「限界耐力を用いた構造計算」をわかりやすく解説する活動も行っています。

耐震性能評価

改修前と改修後の耐震性能評定を比べてみると
X方向の全体復元力が、121kNから140kNに増加し、
Y方向の全体復元力が、30kNから95kNに増加している。
古民家の改修工事によって、耐震性能が大きく向上していることが、良くわかります。

改修前

改修前 X方向の耐震性能評価

改修前 Y方向の耐震性能評価

改修後

改修後 X方向の耐震性能評価

改修後 Y方向の耐震性能評価