古き良さを活かし、これからの暮らしに寄り添う
長年暮らしてきたご実家の敷地で、新しい住まいへの建て替えを計画されたお施主様。
以前のお住まいで使われていた建具や古材、お施主様が大切に保管されていた木材を、新しい住まいへ丁寧に受け継ぎました。
新しい木と、時間を重ねた木。
その両方が自然と馴染み、これからの暮らしを穏やかに包む住まいとなりました。
吹き抜けのあるLDK
まず目に入るのは、吹き抜けのある開放的なLDK。
土間や薪ストーブ、小上がり和室、ダイニング、キッチンがゆるやかにつながり、それぞれ好きな場所で過ごしながらも家族の気配を感じられる空間です。
勾配天井には秋田杉、西側の壁には松を使用し、それぞれ異なる木の表情が空間に豊かな表情を与えています。
以前のお住まいで使われていたケヤキの古材も梁として受け継ぎ、新しい空間と調和するこの家ならではの景色をつくっています。
吹き抜けを中心に、ダイニングや小上がり和室、薪ストーブがゆるやかにつながります。
受け継いだ建具と古材
この住まいは、ご実家の敷地内での建て替え計画でした。
以前のお住まいで使われていた建具や欄間、書院障子、古材、そして屋久杉の板や衝立を、新しい住まいへ受け継いでいます。
ただ残すのではなく、これからも暮らしの中で使い続けられるよう、それぞれに新しい役割を持たせました。
時間を重ねた木だからこそ生まれる風合いや思い出を、これからの暮らしへつないでいます。
以前のお住まいの書院障子を、書斎の窓として受け継ぎました。
以前のお住まいの欄間を玄関ホールに合わせて加工しました。
以前のお住まいの衝立を式台へ加工しました。
屋久杉の一枚板を加工し、キッチン前のカウンターテーブルとして活かしました。
以前のお住まいを支えていたケヤキ材を梁として受け継ぎました。
以前の座卓をダイニングテーブルへつくり替えました。
暮らしに寄り添う造作家具
この住まいでは、キッチン収納やカウンター、書斎など、多くの家具を空間に合わせて造作しました。
既製品を当てはめるのではなく、使い方や動線、置く物に合わせて寸法を整えています。
木の表情や素材のバランスも大切にしながら、日々の暮らしになじむ家具を一つひとつ製作しました。
キッチンに立つと、ダイニングや薪ストーブまで視線が抜け、家族の気配を感じられるレイアウトです。
カウンターテーブルと目線が合うよう、キッチンエリアを一段下げて計画。囲われた落ち着きのある空間としました。
背面収納はブラックチェリー材で製作。生活スタイルや使う物に合わせて寸法を一から計画しています。
キッチン奥に設けた、暮らしに合わせて使える多目的な家事スペース。
腰掛けたり寝転んだり。LDKとゆるやかにつながるくつろぎの場所です。
障子越しの光がやわらかく入る、落ち着いた空間です。
小上がりの畳と板張りを組み合わせたくつろぎ空間に。
トイレの手洗いカウンターはウォールナット材で製作。器や水栓との組み合わせにもこだわりました。
手洗いカウンターを製作した際に出たウォールナットの端材を、鏡の枠として活かしました。
タオル掛けも職人の手作り。小さな部分まで住まいに合わせて整えています。
2階の床は肌触りのやさしい杉材のフローリングを採用しました。
ナラの一枚板カウンターを造作。左官壁はお施主様も施工に参加されました。
書斎入口は、絵本に出てきそうなアーチ形に。小さな空間にも遊び心を添えています。
玄関には、靴の脱ぎ履きに便利な造作ベンチを設けました。
玄関ホールと廊下の間には建具を設けず、のれんでゆるやかに仕切れるようにしました。
暮らしを支える細かな工夫
住まいの印象をつくるのは、大きな空間だけではありません。
照明や手洗い、階段、アイアンの手すり、収納の納まりなど、毎日何気なく目にする場所にも職人の手仕事が息づいています。
細かな工夫の積み重ねが、日々の使いやすさと心地よさにつながっています。
場所ごとに雰囲気を合わせて選んだ照明器具。空間をやわらかく照らします。
カウンターテーブルの小さな灯りが、落ち着いた時間を演出します。
小上がり畳の下にも、空間を無駄なく使った収納を造作しました。
引き出しの面材にはブラックチェリー材を使用。他の木材との色味や木目の違いも楽しめる仕上がりです。
乾燥機を設置するカウンターを造作し、洗濯から乾燥までを一つの空間で行えるよう計画。
引き出し式のカウンタ引き出し式カウンターを設け、乾燥後はその場で洗濯物を畳めるよう計画しました。
正面の松板張りは、木目の流れを見ながらバランスよく配置しました。
吹き抜けの勾配天井には秋田杉を使用。木目や色合いの違いも楽しめます。
手すりは視線が抜けるアイアン製。開放感を損なわず、安全性にも配慮しています。
キャットウォーク入口には高低差があるため、上り下りしやすいステップを製作。
これからも、暮らしとともに。
住まいは完成した瞬間が終わりではありません。
受け継いだ木も、新しく使った木も、これから年月を重ねながら、ご家族の暮らしとともに表情を変えて、思い出を受け継ぎ、新しい時間を育んでいきます。






